「台湾情勢は現在、制御可能」という習氏の余裕の表れ

 米ブルッキングス研究所のジョナサン・A・ツィン氏、ジョン・カルバー氏も同誌への寄稿(2月2日付)で「習氏が盟友すら切り捨てる新次元の冷徹な統治フェーズに入った」と指摘、「習体制下では誰一人として安全ではない」という恐怖のメッセージを送ったと解説する。

 習氏は軍人が軍を管理する体制に限界を感じており、中央軍事委員会に文民(非軍人)を増やす可能性があると分析。「アラブの春」で独裁政権が軍の裏切りで崩壊した教訓から、習氏は「作戦能力よりも党への忠誠」を絶対視している。

 軍首脳が次々と粛清される混乱は軍事行動を弱体化させるように見えるが「外部の脅威(台湾情勢)が現在は制御可能」という習氏の余裕の表れとツィン氏らはみる。「今のうちに軍を大掃除して本当に戦える組織に変えておく絶好の機会」と習氏に思わせているという。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。