ニクソンショックやプラザ合意は米国が自国の経済危機を脱するために基軸通貨の地位を利用して他国にコストを転嫁した歴史的転換点だ。もしマールアラーゴ合意でドルが大幅に減価したら、米国の国債や株式の保有者はトランプ氏に膨大な代償を支払う羽目になる。

中国が米国をすぐに追い抜くことはない

 ドルはソ連、日本、欧州連合(EU)の挑戦を退けてきたが、いま中国にドル覇権を脅かされている。しかしロゴフ氏は中国の驚異的な成長モデルは限界に達したと指摘する。中国の国内総生産(GDP)の約30%が不動産および関連建設業に依存しており、異常に高い水準だ。

 中国の1人当たり住宅面積はすでに英国やフランスを上回り、地方都市で価格が急落、市場を支えきれなくなっている。かつては高いリターンを生んでいたインフラ投資もすでに過剰になり、成長を押し上げる力が失われている。

 日本と同様、少子高齢化が長期的な経済成長の足かせになる。 途上国が先進国の技術を模倣して急成長する段階は終わり、これからは自らイノベーションを起こす必要がある。成長スピードは必然的に鈍化する。ロゴフ氏は中国が米国をすぐに追い抜くことはないと結論づける。