台湾有事で使われかねない戦術核の脅威
兼原:真面目に取り組まないといけません。冷戦中は、米ソが核対峙し、核武装を競っていましたが、今は中国が大核軍拡に入っています。
中国の核兵器の数はあと10年で1500発になると言われています。これは米国やロシアの常備配備弾頭数と一緒です。米国は、これからロシアと中国という二つの核大国との対峙に入ります。中国の核とロシアの核をセットにしたら、数の上では太刀打ちできなくなる。
日本にとっては、米中露の戦略核の均衡も大事ですが、台湾有事で使われかねない戦術核も脅威です。今、中国では戦術核の開発が進んでいます。ロシアはたくさん持っています。台湾有事ということになれば、中国が戦術核を恫喝に使ったり、実際に使ったりする可能性もあります。
その脅威に前線で向き合うのは日本ですが、「日本は非核三原則だから核はいらないんだろ?」と言われるわけです。それでは国民も日本も守れません。現実的な核戦略が必要です。
──トランプ大統領の次に、さらに保護主義的な思考の指導者が出てきた場合、中長期的な米国の日本に対するコミットメントの低下はあると思いますか?
兼原:米国にとって日本は最重要なアジアの同盟国ですが、日本がいなければ死ぬと言う話ではありません。ただ、急激にアジアで影響を拡大しようとしている中国がいるから、対中抑止のために日本が不可欠なのです。米国のコミットメントが下がるというより、日本に対して求める防衛努力がどんどん上がるでしょうね。
「敗戦国だからおぶってやる」だったのが、冷戦終了後、「もう重いから下りろ」となって、今では「こっちも年だから肩を貸せ」という話になってきたということです。