「中国が日米よりも強くなったら台湾併合をやりますよ」

──兼原さんが官邸にいたときにまさに台湾問題が浮上してきた印象がありますが、それから緊迫感は高まっているとお感じになりますか?

兼原:2010年に中国の経済が日本を抜きました。それからたった15年で、中国は日本の4倍の経済規模になりました。習近平主席は復古的で台湾への野望を隠しません。巨額の軍事費で中国は核兵器を含む軍拡を進めています。緊迫感はありますよ。

 ただ、昨今の不動産不況以来、中国も経済が伸び悩んでいて、このまま米国を抜けないのではないかという見方が強まってきました。それでも、まだ20年ぐらいはしっかり構えていないと、台湾に手を出すかもしれません。

 軍事の世界に掛け算はありません。日本と米国なら中国より大きく強い。これに尽きます。中国が日米より大きくなり、強くなったら台湾併合をやりますよ。

──高市政権はどこを目指すべきだと思われますか?

兼原:まずは衆議院を取り返すこと、これが前提です。

 これまでずっと自由主義社会とは、欧米の白人が中心の先進国で、キリスト教が共通の価値基盤でした。ただ、これからはインド太平洋が大きくなります。

「自由主義的国際秩序を世界に押し広げたい」と言ったから安倍首相は世界で支持を得ました。「自由と繁栄の弧」を唱えた麻生総理の価値観外交の路線です。自由主義、民主主義、自由貿易が世界を包むという考え方は正しいし、高市首相もずっと主張し続けなければいけません。正しいことは言い続けなければいけないんです。

 自由貿易をやめたらグローバルサウスは離れていきます。まず価値観よりも何よりも、経済成長を成し遂げたいのがグローバルサウスです。みんな稼げるから付いてくる。

 これからの日本は、もっと防衛力を付けなければなりません。第二次安倍政権から真剣に取り組み始めたけれど、なにせ戦後80年間ずっと防衛努力をサボってきたから、いきなりは立てない。それでも今、精いっぱい努力を続けています。

 防衛力と言っても、自衛隊だけの話ではありません。さまざまな面で日本はまだ足りません。たとえば「社会強靭性」という議論があります。社会全体で強くならないと戦争はできません。つまり、自衛隊だけ強くしても、国民生活が破綻したら戦争は続けられない。簡単な話、日本全土が停電になったらどうするのかということです。

──軍事の面では、日本は制約の多い国だと思います。当面の目標はどのあたりにあるとお考えですか?