NISA急拡大で現実味を帯びる資本規制の議論
現状、筆者は年内2回の利上げを予想しているが、これもやはり円安次第だ。
総裁会見では長期化する円安について、「当面のインフレ率の押し上げ要因になる」との認識が示されている。その上で「国内価格の為替への反応が大きくなっている可能性がありそうだという点に注目している」「小さな動きにも注意を払っていかないといけない」など、かなり為替への配慮が増している印象を受けた。
結局、「円安を見た上で金利を調整する」という構図に陥っており、円安に対してビハインドザカーブと言って差し支えない客観的状況にある。ただ、円安を受けて物価が動くのだから、インフレに対してビハインドザカーブである。
為替市場では、もっぱら通貨政策(為替介入)の有無を巡って思惑が交錯しているが、政策の優先順位は「極めて低い実質金利」を解消するための金融政策のはずだ。それでも抗しきれない円安圧力(恐らくは過剰な投機取引)は通貨政策で実力行使するというのが真っ当な発想である。
日本はこの優先順位を逆転させた議論が多い。通貨政策で実力行使しても止められなければ、いよいよ資本規制という次元が視野に入る。もちろん、日本がそこまで心配する必要はないが、NISAを通じた海外投資に懸念を示す議論も散見される状況に鑑みると、いくばくかではあるものの、資本規制に触れる議論は絶対にないとは言えないのかもしれない。
為替介入に関しては160円付近で繰り返された2024年の成功体験が思い返されるが、当時はfed pivot(FRBの利下げ転換)というフレーズと共に、米金利の先安観が強まることへの期待が常にあった。だからこそ、2024年4~7月に円買い介入を重ねたわけだ。この時は、同年9月に実施されたFRBの利下げ再開で、ドル/円相場は一気に反転したという恵まれた環境もあった。
これに対し、現在の主要海外中銀はもはや利下げ局面の終盤に差しかかっている。日本ではFRBの挙動ばかりが注目されるものの、実は「次の一手」として利下げが確実視されているのはFRBくらいであり、ECB(欧州中央銀行)を筆頭とする主要海外中銀は利下げ局面の停止に差し掛かっている。FRBとて長くはないだろう。