野球、サッカーもサブスクでの配信へ移行

 スポーツ中継では現在、CMスポンサーを集めて無料で番組を放送するテレビの地上波中継が、有料のネット配信に対して資金面で劣勢となっている。

 野球の国・地域別対抗で世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、今年の大会から米動画配信大手のNetflix(ネットフリックス)が日本国内で独占して配信することが決まった。

ワールド・ベースボール・クラシックも2026年の大会からはNetflixが日本国内で独占して配信することに(写真:AP/アフロ)

 放映権料は前回大会の5倍に相当する150億円規模とされ、国内の放送局は採算面から太刀打ちできなかったとみられる。

 2023年の前回大会は、地上波で無料放送され、決勝の米国戦は平均世帯視聴率が42.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をマークするほど盛り上がったが、現役メジャーリーガーの大谷翔平選手(ドジャース)らが出場する大会を視聴するにはNetflixの有料会員になる必要がある。

 また、6~7月に開催予定のサッカーワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会は、電通が日本国内の放映権を獲得し、NHKや日本テレビ放送網などが日本代表戦などを地上波でライブ放送することになったが、全104試合を配信するのは、スポーツ専門の動画配信サービスのDAZN(ダゾーン)だ。サッカーの日本代表戦もアウェー試合はすでに地上波で無料視聴できない時代を迎える。

 昨年末にサウジアラビア・リヤドで開催された、プロボクシングのスーパースター、井上尚哉選手(大橋)らが出場した日本人ボクサーによる興行も、ネット動画配信サービスの「Lemino(レミノ)」が課金(事前4950円、当日5000円)視聴のペイ・パー・ビュー(PPV)方式で国内独占ライブ配信を行い、地上波では視聴できなかった。

 日本では、見たい番組1本に課金するPPVの普及はそこまで浸透していないものの、月額料金を払う「サブスクリプション(サブスク)型動」の画配信サービスが増加傾向だ。

一気に広がる有料動画配信サービス

 独立系調査会社「ICT総研」(東京都)が2025年4月にまとめた「2025年有料動画配信サービス利用動向に関する調査」によれば、2020年末に2330万人だった定額制のサービス利用者は2024年末までに3450万人へ拡大。2027年末には3830万人へ増加する見通しだという。

 同社はインターネットやマルチデバイス環境の発展を背景とし、「かつては補助的な娯楽だったサブスクリプション型動画配信は、今や音楽・ゲームと並ぶ生活インフラの一部として定着した」と指摘。「月額1000〜1500円程度で豊富なコンテンツを見放題で楽しめる『定額制サービス』が登場したことで、利用者数は急増した。加えて、若年層を中心にテレビ離れが進行し、『見たい作品を、見たいタイミングで視聴する』オンデマンドスタイルが主流となっている」と分析する。

 携帯電話が子どもも含めて「1人1台」の時代が到来すると、毎月の基本料金の支払いを当然として受け入れるようになったように、サブスクで動画配信を視聴することへの抵抗は薄まってきている。

 同時に、動画配信企業はより多くのユーザーを囲い込むために、絶えず新たなコンテンツの獲得に貪欲で、特に「ライブ」という価値を持つスポーツ中継は、世界的にも激しい争奪戦の対象となっている。