トランプ氏の狙いは政府と中央銀行を合わせた「統合政府」か
中央銀行の独立性は政治との妥協の上に成り立っている。歴史を振り返れば、独立性は「法」だけで守られてきたのではなく「中央銀行が政治の道具になるとインフレが起きて国民が苦しむ」という政治の自制によって保たれてきた。
これまでの大統領は「責任転嫁」のために独立性の「神話」を維持してきたが、今年11月に中間選挙を控えるトランプ氏は「神話を維持するメリット」すら否定し、FRBを完全に大統領府の一部として従属させようとしている。
思い出されるのはトランプ氏の盟友、故安倍晋三首相だ。トランプ氏とパウエル氏の関係は安倍氏と当時の日銀総裁、白川方明氏とダブって見える。経済財政政策「アベノミクス」を隠れ蓑に政府と中央銀行を合わせた「統合政府」の試みが進められた。
政府のファイナンスを中央銀行がファンディングするのが統合政府だ。国際通貨基金(IMF)によると、日本の政府債務残高は国内総生産(GDP)比237%に達し、超円安が進んだ。製造業には追い風となるはずの円安だが、日本製品の輸出は急増しなかった。
製造業の海外移転、少子化による労働力不足、日本製品の優位性低下が原因だ。日銀の国債保有比率は50%を超え、円の実質実効為替レートは歴史的な低水準を記録。本来市場から退出すべきゾンビ企業を温存させ、日本は成長力を失った。これが「統合政府」の副作用だ。