米国の規制強化にかかわらずファーウェイはシェア拡大

 西側の最先端技術をソ連の最高指導者が使ったことは驚きをもって迎えられた。この携帯電話は「ゴルバ」と呼ばれるようになり、ノキアがモバイル通信のリーダーであることを世界に証明する象徴的なシーンとなった。1990年代、ノキアは欧州共通の通信規格策定を主導した。

 iPhoneの犠牲者となり、携帯電話事業をマイクロソフトに売却した後、ノキアはもともとの得意分野である通信インフラ(基地局、光ファイバー、5G・6G技術)に回帰した。

 16年にはアルカテル・ルーセントを買収、ファーウェイ(中国)やエリクソン(スウェーデン)と並ぶ世界三大通信インフラ企業になった。24年には光ネットワークの専門企業インフィネラ(米国)も買収した。

 米国の規制強化にかかわらず、ファーウェイは中国国内の巨大な需要と東南アジア、アフリカ、中東でのシェア拡大により国内外で圧倒的なシェアを維持している。

 一方、日本勢ではNECや富士通が仕様を共通化した「オープンRAN」を武器に海外シェア拡大を狙う。

 西側ではすでに設置された中国製機器を撤去し、ノキアやエリクソンに置き換えるプロジェクトに政府補助金が出るケースが増えている。次世代の6Gネットワークにおいても中国企業の関与を認めない動きも出始めており、安全保障上、ノキアや日本勢への期待が高まっている。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。