フィンランドの国家生存戦略と密接に結びつくノキアの歴史

 ノキアとエヌビディアのソリューションが市場でトップに立てばノキアは米国で失ったモバイルネットワークの市場シェアを取り戻す可能性が出てくる。今回の提携でノキアには光・IPネットワーク技術をエヌビディアのAIインフラに提供する扉も開かれた。

 ノキアの歴史はフィンランドの国家生存戦略と密接に結びつく。1865年、製紙工場から始まり、その後ゴム製品のブーツやタイヤ、電線ケーブルの製造へと拡大し、1967年に合併して現在のノキアが誕生した。フィンランドにとりソ連との国境を守ることは常に死活問題だった。

 冷戦期、自国の通信インフラを他国に依存することは情報漏洩や国家安全保障上のリスクを意味した。フィンランドは独自に高度な通信技術を育成する必要に迫られていた。初期の電子通信部門は軍用の無線機や通信暗号化技術を開発。これがデジタル通信技術の礎となる。

 ノキアが世界に名を轟かせる決定的な瞬間が1987年に訪れる。ソ連最高指導者ミハイル・ゴルバチョフがヘルシンキを訪問した際、ノキア製の携帯電話「モビラ・シティマン900」を使用してモスクワの通信相に電話をかけたのだ。