金ETF市場への投資マネー流入にはまだ余地があるものの…

 昨年はトランプ政権が4月初めに相互関税を発表した後に米国市場がトリプル安(株安、債券安、ドル安)に陥り、投資マネーが金市場に流入。FRB人事に介入し、パウエル議長の解任まで示唆すると金相場の上昇は加速した。

 マネー流入の受け皿になったのは、現物の金を裏付けにした上場投資信託(ETF)市場だ。

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の集計で昨年1〜11月には投資残高の増加で712.6トン分のマネーが流入し、新型コロナウイルス禍の混乱で金市場に投資資金が逃げ込んだ20年の892.5トン増に次ぐ規模になった。21〜24年は米国の利上げでETF市場から資金が流出していたが、昨年はその4年間の流出分を埋めて残高を4000トン近くまで増加させた。

 今年も同じような動きは予想される。パウエル議長の後任にトランプ政権の意を汲む人物が就けば、市場が想定する以上の利下げが進む可能性がある。金相場は金融緩和とインフレ再燃、ドルの信任低下などを先取りして上昇することになる。昨年、米ウォール街で盛んに指摘された「ディベースメント・トレード」(Debasement Trade=通貨価値の下落に備えた取引)」だ。

 米ゴールドマン・サックスは昨年12月18日に公表した2026年の展望(アウトルック)で、金相場は構造的に旺盛な中央銀行の需要と米国の利下げ(に伴うETF投資家の買い)という2つの牽引力によって上昇基調を維持し、26年末に1トロイオンス(約31.1グラム)4900ドルへの上昇を予想した。

 ゴールドマンは金ETF市場に投資マネーが流入したとはいえ、その規模は米国の民間金融資産全体から見れば極めて小さいという。同社によれば、金ETFの投資残高は米国の民間金融資産の0.17%にすぎず、ピークだった12年を下回っている。

 同社は金ETFへの資金シフトが起きて金融資産に占める比率が1ベーシスポイント(0.01%)増えるごとに金価格を1.4%押し上げると試算する。金相場が4500ドルであれば1.4%は63ドルになる。

 昨年、先行する金を追いかけるように急騰し、年末の12月29日には一転して急落した銀やプラチナはどうなるだろうか。