原油相場低迷の背景に横たわる供給増と中国などの景気不振
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストが国際エネルギー機関(IEA)の統計などを基にまとめた需給推計で見ても供給過剰は鮮明だ。「昨年4月から12月にかけてOPECプラス有志8産油国が増産したことで、供給過剰は25年が日量221万バレル、26年は344万バレルとなるなど、コロナ禍の20年とほぼ同等か、それを上回ってしまう状況になる」(野神氏)。
(注:IEA統計などから、エネルギー・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミストが推計)
中国の石油備蓄強化や米国が攻撃の手を強めるベネズエラなどからの供給不安が相場を下支えてきたが、過剰供給の中でどこまで相場が持ちこたえられるかが焦点になる。
原油相場が低迷する背景には主産国の供給増だけでなく、中国を中心にした景気不振が横たわる。余剰能力を抱えた中国のデフレ輸出で鉄鋼や石油化学製品価格に下げ圧力が強いままだ。貴金属や銅が最高値を更新したとはいえ、新興国経済の力強い成長で幅広い商品が値上がりしたリーマンショック前とは市場環境が異なる。
食料源になる穀物やエネルギー価格が低水準で安定していることは世界経済、とりわけ消費国にとって恩恵が大きい。しかし、異常気象の頻度が増す中で穀物主産地が天候に恵まれる奇跡がどこまで続くかは誰も分からない。
米国はリセッション(景気後退)が起きない状況でも利下げに邁進し、日本の高市政権も積極財政で高圧経済を実現しようとする。世界経済が不安を抱える中で、行き場を探す投資マネーが金など特定の実物資産に向かいやすい構図は今年も変わらない。原因は貴金属市場やそこに向かうマネーではなく、不安を抱えた世界経済にある。



