労基法改正が必要な背景とは
在宅勤務やリモートワークが当たり前となってきただけではありません。Uber Eats(ウーバーイーツ)に代表されるプラットフォーム・ワーカーのように、実態的には労働者でありながら、契約上は従来の雇用契約ではなくフリーランスとの業務委託契約というケースも激増してきました。
副業を奨励する企業も増えています。働く環境がこのように変わるなかで、いかにして労働者の健康と待遇を守るか。そこが議論の焦点になったわけです。
報告書によると、ポイントは①労働時間と休息の厳格化、②休日・休暇ルールの明確化、③多様な働き方への対応、④新たな権利「つながらない権利」の確立、⑤育児‧介護と仕事の両立支援の強化――などに整理できそうです。そのなかでも中心となっているのは、労働者保護の考え方です。
これに関し、報告書は「13日を超える連続勤務をさせてはならない旨の規定を労働基準法上に設けるべきである」と明記し、14日以上の連続勤務を禁じるよう提言しました。過去の労災事案では、休みのないまま2週間連続で勤務した場合、心理的負荷が増大し、精神障害を引き起こす恐れが高くなることが分かっているからです。また、勤務と勤務の間に最低11時間のインターバル(休息時間)を設ける義務も課すべきだと強調しました。
一方、勤務時間外では職場の指示・連絡を受けない「つながらない権利」については、労使間でガイドラインを策定するなどルールを明確にすべきだと明示しています。改正法でいきなり規則として明文化はしないにしても、将来的な法制化は避けられないとの認識を示したのです。
この報告書をベースにした議論はその後、厚生労働省内の労働政策審議会などに引き継がれ、2026年の改正法を目指すスケジュールで進んでいました。それに「待った」を掛けたのが高市首相です。