議論されてきた労基法改正のポイント

 労働基準法の改正に向けた議論を進めていたのは、厚生労働省の審議会「労働基準関係法制研究会」(座長=東京大学大学院法学政治学研究科・荒木尚志教授)です。

 2024年1月から始まった会合では、厚労省側が「労基法は労働者の保護に関する基本法として、必要性がますます高まっている。時間外労働の上限規制についても、長時間労働の抑制の一翼を担う(重要な)もの」と強調しました。

 一方、とくにコロナ禍やデジタル技術の進展などによって日本人の働き方は大きく変わったと指摘。毎月の会合を1年間かけて開催し、労働基準法の改正に向けた意見を取りまとめることにしたのです。

図表:フロントラインプレス作成、出所:厚生労働省「労働時間制度等に関するアンケート調査」(2024年1月公表から)

 そうした議論を経て、同年末に公表された報告書は、改正のポイントをいくつか列挙しました。重要なのは「労働基準法は長時間労働を抑えるための一律規制法」という従来の発想を大きく転換し、「働き方が多様でも健康を壊させないための基本法」へと発想を切り替えたことです。

 このため、報告書が示す改正後の姿は「労働者の健康・安全の最低基準の確保」と「多様な働き方を選択できる環境整備」を両立させようとする点に最大の特徴があります。

 背景にあるのは、労働環境の激変です。