育成に重点置き再建中の球団、村上は「つなぎ」か
ホワイトソックスがここまで低迷しているのは、端的に言えば「資金力がない」からだ。
【ここ3年のホワイトソックスの年俸総額と/1位球団】
2023年1億4073万ドル(24位)/ヤンキース2億5942万ドル
2024年1億2334万ドル(22位)/ヤンキース2億9146万ドル
2025年6343万ドル(28位)/ドジャース3億3819万ドル
ホワイトソックスの25年の年俸総額は日本円で95.1億円。NPBの年俸総額最多はソフトバンクの77.3億円だからそれよりも多いが、24年に歴史的な大敗をして、チームは「解体モード」から「再建モード」に入っている。ちなみに鈴木誠也がいるシカゴ・カブスは1億6968万ドルで14位だった。
ホワイトソックスは、昨年はエースのクロシェを放出、今季は捕手にクエロ、遊撃手にメルドロス、先発投手にもシェーン・スミス、救援ではバジルと新人選手を抜擢した。村上の1年目の年俸は1600万ドル(約25億円)とされるが、おそらくはチーム1の高年俸になるだろう。
MLBのドラフトは、下位チームから選手を指名する完全ウェーバー制だ。この恩恵でホワイトソックスには近年、有望選手が入団している。資金力が必要な補強ではなく、育成を中心にチームの再建を目指しているのだ。村上はこの間の「つなぎ」になる可能性が高い。
村上には2年目の2027年、チームはまだ低迷している可能性が高いと思われるが、村上はこの年のトレード期限である7月末にトレードされる可能性が高いだろう。
選手契約には「トレード拒否条項」がある場合がある。「この球団にはいきたくない」という権利だが、30球団最弱のホワイトソックスの村上は、どこに移籍してもほとんど「上げ」なので、村上が移籍を拒否することはないと考えられる。
村上は、27年前半の時点で、他球団が「残り年俸を負担してでも獲得したい」と思えるような成績を上げることが必要だ。30本塁打、OPS.800、つまり今季の鈴木誠也程度の成績が目標になるだろう。



