これまで紹介した21人の日本人MLB選手の中で、守備で高い評価を受けたのは「守備のベストナイン」であるゴールドグラブを10回受賞した外野手のイチロー、外野守備固めでたびたび起用された田口壮、リード面で評価された捕手の城島健司、二塁手でスーパープレーを見せた井口資仁くらいだろうか?
特に内野手は、キャンプ早々に「失格」の烙印を押されることが多い。
人工芝でイレギュラーの少ないフィールドでのプレーに慣れた日本人内野手は、イレギュラーも多く、変則的な守備も求められるMLBでは通用しないことが多いのだ。
村上宗隆を獲得したホワイトソックスは、早くも村上を「一塁手で起用」する予定のようだ。NPBでは一塁手は、それほど守備が得意でない野手が守ることもあるが、MLBの一塁手は、微妙な判定を有利にするような「球際の強さ」が求められる。
一塁で通用しないとなれば、外野か、DHかということになる。このあたりも厳しいところだ。
低迷中のホワイトソックス
さて、村上を獲得したシカゴ・ホワイトソックスとは、どんなチームなのか?
MLBは1901年にア・ナ両リーグに分立したが、記念すべきこの年に、ア・リーグ最初の勝者になったのがホワイトソックスだった。
オーナーのチャールズ・コミスキーは偉大な選手、監督であり、殿堂入りしているが、経営者としては選手に極めて厳しく、これが1919年のワールドシリーズを舞台としたMLB史上最悪の八百長事件である「ブラックソックス事件」につながったといわれている。
シカゴにはナ・リーグのカブスもある。同一都市に2球団が存在するのは、ニューヨーク(ヤンキース、メッツ)と、シカゴの2つだけだ(ロサンゼルスの2球団のうちエンゼルスは、アナハイムという別の都市が本拠地)。
過去には高津臣吾、井口資仁、福留孝介と3人の日本人選手が在籍した。
125年の歴史の中で、ワールドチャンピオンには3回なっているが、2005年に3回目の世界一になってからはポストシーズン進出は3回だけ。
ここ3年は連続で100敗以上を記録。特に昨年は41勝121敗と近代MLBが始まって以来、最多敗を記録した。
このため観客動員も30球団中27位の144.6万人と低迷している。