世界を席巻するサウジのオイルマネー
サウジアラビアのサッカーリーグでは、ポルトガルのスーパースター、クリスティアーノ・ロナウド選手が23年からプレー。27年まで延長した新たな契約は2年総額で約977億円とも報じられた。また、政府系パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が出資するゴルフツアー「LIV」の賞金も破格で、25年のトップ選手の賞金獲得額は、米ツアーPGAのトップを上回った。
ボクシング界でもビッグマッチを実現させてきたリヤドは、米ラスベガスなどと並び、ボクシング興行の中心地となった。その影響力はすさまじく、日本経済新聞によれば、「リヤド・シーズン」を主催するサウジアラビア総合娯楽庁長官のトゥルキ・アラルシク氏は、英専門誌が毎年発表する「ボクシング界で最も影響力のある50人」で2年連続1位に選ばれるほどだ。
中谷潤人選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
そんなトゥルキ氏の熱望もあって実現した井上選手がメインイベンターを務める「ナイト・オブ・ザ・サムライ」には、井上選手と26年5月に東京ドームでの対戦が計画される中谷選手、寺地拳四朗(BMB)選手らが参戦。中谷選手はスーパーバンタム級に転向しての初戦のノンタイトルマッチとなり、寺地選手はIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチで3階級制覇に挑む。
日本から多くのスポーツメディアが集結する注目の興行は、映像配信サービス「Leminoペイ・パー・ビュー(PPV)」で日本時間27日午後7時から国内独占生配信される。PPVチケットは事前販売4950円(税込)、当日販売5500円(同)と、注目度の高さから強気の価格設定にもみえる。近畿日本ツーリストは現地での応援ツアーを発売した。
12月23日に現地で行われた公式行事のお披露目イベント「グランドアライバル」には、井上選手らが参加。屋内ステージは、天井から提灯が吊り下げられ、巨大な鳥居などで日本のイメージがセットされ、興行の盛り上げに一役買った。
日本国内では、井上選手の人気が圧倒的だが、5歳下で27歳の中谷選手も31戦無敗のハードパンチャーで「ネクスト・モンスター」の呼び声が高い。バンタム級では全5戦連続KO勝利で井上選手が待つスーパーバンタム級へ転向。リヤドでの初戦を経て、5月に予定される東京ドームでの両者の激突は「世紀の一戦」と大きな注目を集める。
すでに破格のスポンサー契約を結んでいる井上選手だけでなく、中谷選手も今回のイベントで衝撃的な勝利を飾れば、現地での注目度が一気に高まる可能性は十分にある。それだけに、現地入りするスポーツバックスの社員は、筆者の取材に「中谷選手の実力が評価されれば、ビジネスにつながる。スポンサー獲得の交渉などに動ける準備を進めていきたい」と話す。