衆院解散・総選挙は2026年がベスト

 こうして2025年を乗り切った高市政権にとって、26年は長期政権の成就に向け、確固たる足場の構築を狙う1年となる。そして、その最重要課題は、ベストタイミングで衆院解散・総選挙を断行し、勝利を収めることだ。

 高市早苗首相の自民党総裁としての任期は、27年秋である。長期政権を築くには、この任期満了に伴う総裁選を突破することが絶対条件となる。そのためには、それまでに衆院選を終え、自民党による単独過半数確保という「完勝」を達成しておくことが最良のシナリオとなる。

 だが、27年春には統一地方選が控えている。衆院選が重なれば、自民党が選挙で頼りにする地方組織を疲弊させることになる。このこともあって、いかにタイミングに配慮したとしても、27年に入ってしまうと解散時期の選択肢はかなり限定的となる。

 場合によっては政局的に追い込まれ、衆院解散の時期を逸しかねない。政治カレンダーを見渡せば、やはり衆院選は26年中を狙うのが定石である。

「政治の安定なくして力強い経済政策も、力強い外交・安全保障も推進していくことはできない。その上で、令和8年度の税制改正や当初予算の取りまとめなど、目の前でやらなければいけないことが山ほど控えており、解散について考えている暇がございません」

 高市首相は臨時国会閉幕を受けた12月17日の記者会見で、衆院解散・総選挙についてこのように述べた。

 実際、26年の通常国会の召集は1月下旬が有力視されている。冒頭解散による衆院選となれば1カ月の政治空白を生じるため、26年度予算を今年度内に成立させられず、暫定予算編成を余儀なくされる可能性が大きくなってしまう。つまり、冒頭解散の観測は後退しつつある。

 自民党の古屋圭司選対委員長は12月21日に岐阜県内で講演し、衆院解散の時期について、高市首相が重視する政策を通常国会で実現して評価を受けた上で「最も良いタイミングで打って出る」との見通しを示した。26年秋の解散などが念頭にあると受け止められる言い回しだ。

 連立与党を組む日本維新の会・吉村洋文代表は12月17日のテレビ番組で、衆院解散は来年春(今年度末)に見込まれる26年度予算成立以降との認識を明らかにした。これら与党幹部の発言に沿うと、タイミングは春も含み、通常国会の閉幕直前の夏、そして秋の臨時国会などが候補となる。

表:主な政治スケジュールと衆院解散シナリオ(JBpress編集部作成)