参院の予算委員会に出席する高市首相(写真:つのだよしお/アフロ)
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(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

【2025年の振り返り】
 2025年は政治的に激動の1年であった。石破政権は2024年10月実施の衆院選に続き、2025年7月実施の参院選でも敗北、衆参両院で少数与党に陥った。国政選挙に2回連続で敗北したにもかかわらず、石破首相が続投したことで、政治空白が生じた。

 参院選後、自民党内で石破首相続投に対する不満が高まり、2027年9月までの総裁任期満了を待たずに前倒しで総裁選を実施するよう求める動きが強まった。結局、総裁選前倒しの有無を正式決定する直前の9月7日に、石破首相は自ら辞意を表明。参院選敗北の総括を踏まえ、自民党は党員・党友も投票権を有するフルスペックの総裁選を実施することを決定した。

 10月4日に投開票を迎えた自民党総裁選では、小泉候補有利の下馬評を覆して高市候補が勝利。立役者の麻生氏を副総裁に据える新執行部が始動した。

 その後、公明党が連立政権から離脱、立憲民主党が国民民主党の玉木代表を首班に担ぐ動きをみせたことで、政権交代が取り沙汰された。だが、日本維新の会が自民党との連立政権樹立に合意。10月21日に召集の臨時国会において高市総裁が首班に指名され、高市内閣が発足した。

 高市政権は高い内閣支持率でスタートを切ったものの、岸田政権や石破政権と異なり発足直後の衆院解散に踏み切らなかった。参院選後の政治空白が長引いたこともあり、高市政権は経済対策の策定、そして予算や法案の審議・成立を優先している。

 自民・維新の与党は、衆院では少数会派との合流などを通じてちょうど過半数を確保したものの、参院では過半数に6議席足りず、いわゆる「ねじれ国会」となっている。予算は自然成立が可能だが、法案の成立には主要野党の協力が必要な状況に変わりはない。

【2026年以降の政治日程】
 2026年以降の政治日程は次ページの掲載図表の通り。2027年には自民党総裁選、2028年には日銀総裁・副総裁の任期満了、衆参両院議員の任期満了、さらには(日本ではないが)米大統領選挙と、市場環境を大きく変え得る重要イベントが相次ぐのに比べると、2026年は重要な政治イベントが相対的に少ない年だ。

 ただ、2026年は衆院解散・総選挙がいつ実施されても不思議ではない状況だ。また、金利上昇や円安進行に直面し、例年以上に経済政策、とりわけ財政運営が注目されるうえに、人口問題では丙午や外国人政策などで分岐点を迎える。