例年にもまして注目を集める財政運営と補正予算の扱い
【2026年度当初予算編成】
金利上昇や円安進行に直面する中、例年にまして財政運営が注目される。
その大きな分水嶺は、2025年内に閣議決定される2026年度当初予算の編成だ。自然体では歳出・税収とも2025年度当初予算より5兆円程度膨らみ、公債金収入(新規国債発行額)やプライマリーバランスは大きく変わらないだろう。
ただ、恒常的な歳出増として危機管理投資・成長投資関連が計上される可能性がある。また、2026年度の税制改正では、増税よりも減税の措置が多くなる見込みだ。既に与野党が合意したガソリン暫定税率の廃止が反映されるほか、自民、維新、国民、公明の各党が協議を重ねている所得減税が実現する可能性がある。
恒常的な歳出増と税収減を合わせ、5兆円規模の基礎的財政収支悪化であれば、政府債務残高対GDP比の改善傾向は変わらないと見込まれる。ただ、それを大きく超えれば、経済・金利情勢次第では政府債務残高対GDP比の上昇につながる可能性もある。
なお、近年は当初予算と補正予算の線引きが曖昧となり、予算管理上の問題となっている。具体的には、補正予算に恒常的な歳出が事実上計上され、補正予算の規模が縮小しづらくなっている。
これに対し、高市首相は(恒常的に)必要な予算を当初予算で積むことの重要性を指摘しているため、2026年度当初予算で、恒常的な歳出を補正予算から振り替える措置が実施されるか否か注目される。
仮にこの措置を実施する場合、2026年度補正予算での相応の歳出削減を約束する何らかの縛りが必要となろう。そうでなければ、財政規律への懸念につながり得る。
【予算審議、骨太方針】
先述のように、予算は自然成立が可能だが、法案の成立には主要野党の協力が必要だ。予算関連では、税制改正法案に加え、2025年度で期限を迎える特例公債法の改正案を成立させる必要がある。どの野党と協力するかの選択が重要となろう。
仮に立憲民主党と協力する場合は、当初予算案を閣議決定しても、国会で審議する過程において、縮小する方向で見直す可能性がある。だが、現時点では国民民主党などと協力する可能性が高い。積極財政路線を安易には見直さないのではないか。
なお、例年6月頃に骨太方針が閣議決定される。財政健全化目標を、プライマリーバランスの黒字化から、政府債務残高対GDP比の引き下げを重視する方針へ正式に移行するだろう。