経済に直結する外国人受け入れの数値目標
【丙午】
2026年は人口問題で分岐点を迎える。
まず、60年に1度の「丙午(ひのえうま)」に当たり、出生数に影響が出るか注目される。1966年の出生数は136.1万人となり、前年比▲25.4%、前年差▲46.3万人の大幅減少を記録した。「丙午生まれの女性は気性が激しい」等といった迷信が強く影響した。現代では、このような迷信は薄れているため、影響は相対的に小さいと考えられるが、実際の推移が注目される。

【外国人政策】
また、自民・維新の両与党は、連立合意文書の「人口政策および外国人政策」において、外国人の受け入れに関する数値目標や基本方針を明記した「人口戦略」を2026年度中に策定する方針を示した。数値目標次第では、経済への影響が大きくなる。
外国人労働者の受け入れペースが現状並みの年間20万~30万人程度で維持されれば、2030年代半ば頃まで労働力人口は増加基調を辿る見通しだ。だが、受け入れペースを抑制すれば、当然であるが、労働力人口の増加ペースは鈍り、ピークアウトが早まる。
極端な例として受け入れをゼロに制限すれば、2030年代の労働力人口の変化率は年平均で0.3%pt程度押し下げられる。外国人受け入れが社会問題となりつつあるため、一定の制約は必要と考えられるが、労働生産性上昇ペースが加速しなければ、潜在成長率も同程度押し下げられることになる。外国人の受け入れに関する数値目標がどうなるか注目される。
【宮前 耕也(みやまえ こうや)】
SMBC日興証券㈱日本担当シニアエコノミスト
1979年生まれ、大阪府出身。1997年に私立清風南海高等学校を卒業。2002年に東京大学経済学部を卒業後、大阪ガス㈱入社。2006年に財務省へ出向、大臣官房総合政策課調査員として日本経済、財政、エネルギー市場の分析に従事。2008年に野村證券㈱入社、債券アナリスト兼エコノミストとして日本経済、金融政策の分析に従事。2011年にSMBC日興証券㈱入社。エコノミスト、シニア財政アナリスト等を経て現職。
著書に、『アベノミクス2020-人口、財政、エネルギー』(エネルギーフォーラム社、単著)、『図説 日本の財政(平成18年度版)』および『図説 日本の財政(平成19年度版)』(東洋経済新報社、分担執筆)がある。


