松井秀喜と村上宗隆の共通点

 ゲッツGMは42歳。データと合理性で球団を再設計しようとする、現代型の編成責任者である。同時に彼は“数字だけでは説明できない選手”を知っている世代でもある。

ホワイトソックスのGM、クリス・ゲッツ氏(写真:John J. Kim/TNS via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

 2008~09年、ホワイトソックスの二塁手としてプレーしていたゲッツは、当時ヤンキースの中軸を担っていた現役時代の松井秀喜氏と対戦している。

 2009年――松井がワールドシリーズMVPを獲得し、日本、そして本拠地ニューヨークのみならず「ゴジラ」の名を全米と世界に刻みつけた年。その異様な勝負強さ、数字を超えた存在感、そしてクラブハウスに与える影響力をゲッツは対戦相手として“現場”で体感していた。

 松井と同じ左の長距離砲である村上宗隆という存在を、ゲッツGMが「ネオ・ゴジラ」あるいは「シン・ゴジラ」と密かに呼ぶ理由は単なる比喩ではない。後ろに重心を残し、爆発的な力を溜めて解き放つ打撃フォーム。パワーとスピードを併せ持つ身体能力。そして何より、野球に対する異様なまでの真摯さ。松井秀喜がそうであったように、村上もまた「打てば終わり」ではない選手なのだ。