なぜ沖縄の東海域に侵入してきたのか
中国空母と艦載機のレーダー照射について、日本の多くのメディアは「この行為は危険である」と中国の威嚇行為を危ぶむ報道していたが、私は、威嚇目的はもちろんあるが、中国の本当の狙いは別のことにあると思っている。
それは、中国が台湾侵攻の際、空母の動きを見せることによって、「米国および日本がどう出てくるのか」を事前に知ろうとしたのではないか、ということだ。
その説明に入る前にまず、台湾侵攻時の中国軍の侵攻方法を見積もる必要がある。
中国の台湾侵攻は、北・東・南からの侵攻と日本の南西諸島を通過して、台湾の背後に回る迂回侵攻が考えられる。
台湾に近い大陸の東からだけの攻撃では、台湾軍が待ち受けているキルゾーンに入ってしまい、海上機動が失敗する可能性がある。
だから、北・南からと迂回攻撃によって、台湾軍の背後に回ろうとするのである。
●この構想については、筆者が執筆協力した『中国の軍事戦略』(東洋経済新報社1997年)にも記述している。
ただし、北の迂回侵攻時に日本や米軍から、南からの侵攻時には米軍から妨害される可能性がある。
また状況によっては、米軍が北の迂回攻撃に対して、妨害ではなく直接攻撃することも十分にあり得る。
図3 見積もった台湾侵攻経路と空母「遼寧」の活動海域
これらの動きと今回の空母の動きに関連があるとみられる。
