照射位置は日本近海で中国近海ではない

 まず、遼寧の艦載機は日本の戦闘機にレーダーを照射する必要があったのだろうか。

 レーダー照射は、中国の近海ではなく日本の近海で行われた。この行為は、全く不可解である。

 東シナ海の日中中間線よりも中国側(図2A海域)で、中国海軍が行動している時に自衛隊機が接近し、自衛隊機を追い払う理由で照射したのであれば、少しは理解できる部分もある。

 しかし、今回は中国軍機が日本の近海、経済水域内に進入し、それも南西諸島に近い空域(図2B海域)で照射したのである。

 この海域で、接近してきた中国機に対して日本がレーダーを照射したのであれば、防衛行動として合理性は「あり」だと思う。

 しかし、進入してきた側が火器管制レーダーを照射(以下レーダー照射)したのである。

図2 中国空母の演習海域は日本の近海

出典:各種情報に基づき筆者が作成したもの(図は以下同じ)
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 これは、悪意ある嫌がらせ以外の何物でもないように見える。

 空母としては、自衛隊機が接近してくると、空母の写真などの情報を取られたくなかった、目障りだったという理由はあるかもしれない。

 しかし、見られたくなければ、日本から離れた海域で実施すればよいだけのこと。

 つまり、日本の近海で実施することに大きな意味があるはずだ。