政治家も「盛った発言」をしたくなる

 現代の政治家たちはコミュニケーションの中心がネットと動画にあることをよく理解している。

 高市内閣は2025年10月21日に発足した。自民党と日本維新の会による連立政権であっても、衆参両院ともに少数与党として船出した。公明党が連立政権からの離脱を表明したことで、自維連立という新たな枠組みが生まれた。しかし、政権基盤は依然として脆弱である。

 選挙ドットコムとJX通信社の2025年12月調査によれば、高市内閣の支持率は70%と高水準を維持している。しかし、野党の協力なしには予算や法律を成立させることができずに、綱渡りの政権運営が続いている。

 こうした状況下で、政治家はこれまで以上に国民への直接的な訴求力に飢えている。直近の、参院選や衆院選、東京都知事選、兵庫県知事選などでYouTubeやXを活用した候補者の躍進が目立っている。

 若手・中堅の政治家にとって、ネットメディアは自身の認知度を高め、支持を拡大するための重要なツールとなっている。ネットが選挙の主戦場のひとつとなっていることは明らかだ。

 しかし、そこに陥穽(かんせい)がある。

 YouTube番組などでは、視聴者の関心を引くために、あえて踏み込んだ発言や「盛った発言」をする誘惑に駆られやすい動機づけが存在する。ネット上の「盛り上がり」や「バズ」を優先するあまり、公人としての慎重さが失われがちになる傾向が一部に見受けられるのではないか。

 実際、国光氏のReHacQでの発言は切り抜き動画として拡散され、SNS上では小西氏への批判コメントも寄せられたようだ。