今後の展望:廉価版と「折りたたみ」への布石

 2025年の首位奪還はゴールではなく、独走態勢への入り口に過ぎないとの見方が強い。

 カウンターポイントは、アップルが少なくとも2029年まで首位を維持すると予測している。その根拠となるのが、今後の製品ロードマップだ。

1. 「e」シリーズによる裾野拡大:2026年上期には、iPhone 16eの後継となる「iPhone 17e」の投入が確実視されている。新興国や若年層を取り込む「準高級(Lower Premium)」帯の強化だ。

2. 折りたたみ市場への参入:早ければ2026年末にも初の折りたたみ式iPhone、2027年には縦折り(フリップ)型の投入が予測されている。

 iPhone Airそのものは販売面で苦戦したものの、そこで試みた薄型化技術や設計思想は、次世代の折りたたみデバイスを実現するための技術的足がかりとして機能する可能性がある。

 アップルは、成熟したスマートフォン市場において、「ハードウエアの革新」と「買い替えサイクルの波」を巧みに組み合わせることで、再び覇権を握った。

 今後は、遅れているAI機能の実装と、新たな形状のデバイス投入が、その地位を盤石にできるかどうかの試金石となる。

 (参考・関連記事)「『史上最薄』iPhone Air、販売不振で次期モデルの発売延期 アップルの革新戦略に試練 | JBpress (ジェイビープレス)