アップルのティム・クックCEO(9月15日撮影、写真:REX/アフロ)
米アップルの取締役会が、長年同社を率いてきたティム・クックCEO(最高経営責任者、65)の後継者計画を本格化させていることが、先月(11月)中旬の報道で明らかになった。
早ければ2026年にもクック氏が退任する可能性が浮上する中、経営陣の世代交代が急速に進んでいる。
直近の12月4日にも主要幹部2人の退任が発表され、AI分野での巻き返しや次なる革新的な製品創出という喫緊の課題を前に、組織は大きな転換点を迎えている。
経営陣交代が進む中での「本命」浮上
英フィナンシャル・タイムズ(FT)などが11月14日付で報じたところによると、アップルの取締役会と上級幹部らは最近、経営トップの引き継ぎに向けた準備を活発化させている。
クック氏は2011年、共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏から引き継いでCEOに就任。
以来14年以上にわたり、卓越したサプライチェーン(供給網)管理などのオペレーション手腕で同社を率い、時価総額を就任時の約3500億ドルから4兆ドル(約620兆円)を超える世界トップクラスの企業価値を持つまでに成長させた。
クック氏は今年65歳を迎え、近年、経営陣の世代交代が着々と進められてきた。
今年1月には長年の腹心であるルカ・マエストリ氏がCFO(最高財務責任者)の職務から退いた。7月にはクック氏の右腕で有力な後継者候補と目されてきたジェフ・ウィリアムズ氏がCOO(最高執行責任者)を退任した。
この流れは止まらない。
アップルは12月4日、法務担当のケイト・アダムス氏と環境担当のリサ・ジャクソン氏というベテラン幹部2人が2026年に退任すると発表した。さらに、AI開発トップのジョン・ジャナンドレア氏も来春の退任が決まっているほか、デザイン部門の幹部らが米メタへ移籍することも明らかになった。
クック氏を支えてきた主要幹部が相次いで去る状況だ。
こうした中、後任CEOの最有力候補として名前が挙がっているのが、ハードウエアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏(50)だ。
複数の海外メディアは、クック氏が社内候補者を望んでいることや、ターナス氏が経営幹部の中では比較的若いこともあり、最有力と見なされていると報じている。
米アップル・インサイダーによれば、ソフトウエアエンジニアリング担当のクレイグ・フェデリギ氏や、ワールドワイドマーケティング担当のグレッグ・ジョズウィアック氏も候補に含まれるが、ターナス氏が筆頭とされている。