販売不振に見舞われているiPhone Air(写真は9月9日米カリフォルニア州クパチーノ市で撮影、写真:ロイター/アフロ)
米アップルが今年9月に「史上最薄」をうたい文句に投入した新型スマートフォン「iPhone Air」が、販売不振に見舞われている。
この結果、当初2026年秋に計画されていた第2世代モデルの発売が延期される見通しとなった。11月中旬、米ネットメディア「ジ・インフォメーション」や英ロイター通信などが相次いで報じた。
10月末の決算発表ではiPhone 17シリーズ全体の好調さが示されたばかりだったが、その陰で、革新的なデザインを追求した新モデルが消費者の支持を得られなかった実態が浮き彫りになった。
アップルのフラッグシップ製品におけるイノベーションの難しさと、今後の新形状(フォームファクター)戦略への影響が問われている。
好調なProモデル、対照的なAir
アップルが10月下旬に発表した2025会計年度第4四半期(7〜9月期)決算は、iPhone 17シリーズ全体の好調に支えられ、売上高・純利益ともに市場予想を上回る増収増益を達成した。
ティム・クックCEO(最高経営責任者)も「iPhoneがいかに受け入れられているかと思うと興奮する」と、その好調ぶりを強調していた。
しかし、その内訳は対照的だった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによると、高価格帯の「Pro」モデルが強い需要を集め、最大3週間の入荷待ちとなった一方、iPhone Airは発売直後から即納可能な状態が続いていた。
ある消費者調査では、米国でのiPhone 17購入者のうち、Airを選んだのは10人に1人に過ぎなかった。
こうした需要の低迷を受け、アップルは発売直後からiPhone Airの生産を大幅に縮小する措置を講じたと、サプライチェーン関係者の話として報じられている。