薄さと機能の「トレードオフ」響く

 iPhone Airは、2017年の「iPhone X」以来となる革新的なデザインとして投入された。

 しかし、その「超薄型」を実現するために、機能面で多くの妥協を伴っていた点が、消費者に受け入れられなかった要因とみられる。

 WSJの分析によると、Airは①カメラ性能(望遠レンズや超広角レンズの欠如)、②音響(スピーカーが1基のみ)、③バッテリー持続時間といった中核的な機能において、200ドル安いエントリーモデルのiPhone 17よりも劣っていた。

 また、中国市場では、エントリーモデルが政府の消費喚起策である補助金プログラムの対象となったのに対し、Airは価格が高すぎ(エントリーモデルより約280ドル高)対象外となったことも、販売不振に拍車をかけたとみられる。

 過去にもアップルは、「Plus」モデルや「Mini」モデルといった特定のニーズを狙った製品で苦戦した経緯があり、アナリストからは「ニッチな種類のスマートフォンは軌道に乗らない」との指摘も出ている(米調査会社CIRP=コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)。

次期モデルは2027年春以降か

 今回の販売不振を受け、ジ・インフォメーションは、アップルが2026年秋に予定していた第2世代iPhone Airの発売計画を中止したと報じた。

 米ネットメディア「ザ・バージ」によると、第2世代モデルは、現行機よりさらに軽量化し、バッテリー容量を増強、iPhone 17 Proラインアップに採用された「ベーパーチャンバー」(冷却機構)の搭載も目指していたという。

 報道によれば、アップルは早ければ2027年春にもこの新型Airを発売する可能性を依然として残しているものの、2026年秋のラインアップは「iPhone 18 Pro」と開発中の「折りたたみ式iPhone」で構成される見通しだという。