メタのマーク・ザッカーバーグCEO(9月17日撮影、写真:ロイター/アフロ)
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 米巨大テック企業(ビッグテック)同士の合従連衡が、新たな局面を迎えている。

 11月下旬、米メタ・プラットフォームズが、AI開発の心臓部となる半導体チップにおいて、競合する米グーグル(アルファベット傘下)製品の採用に向けて協議していることが明らかになった。

 生成AIブーム以降、市場を独占してきた米エヌビディア(NVIDIA)への依存脱却を目指す動きであり、AI覇権争いは「インフラ」「モデル」「サービス」が複雑に絡み合う総力戦の様相を呈している。

エヌビディア「1強」への対抗軸

 11月25日、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)英ロイター通信などが報じたところによると、メタはグーグルが独自開発したAI半導体「TPU(Tensor Processing Unit)」を自社のデータセンターに導入するため、数十億ドル(数千億円~1兆円規模)を投じる協議を行っている。

 導入開始は2027年を見込む。

 メタはこれまで、エヌビディア製のGPU(画像処理半導体)を大量に調達し、AIモデル「Llama(ラマ)」シリーズの開発を進めてきた。

 しかし、エヌビディア製GPUは需給が逼迫しており価格も高騰している。メタにとって、特定のチップメーカーへの過度な依存は経営リスクとなりつつあった。

 今回の動きは、AIの「学習」および「推論」プロセスにおいて、エヌビディア以外の選択肢を確保する狙いがある。

 グーグルのTPUは、AI処理などの特定の計算タスクに特化した「ASIC(特定用途向け半導体)」だ。

 一般的に、汎用的なGPUに比べてエネルギー効率を高めやすい設計とされる。メタはグーグルとの提携により、AI開発コストの抑制と調達の安定化を図る構えだ。