リストラや経費節減を社員に納得させるために野球部が「犠牲」になることも

 1951年には業種別の代表チームによる「日本産業対抗野球大会」が始まる。この大会は73年に終了し、74年からは企業単位のトーナメント戦である「日本社会人野球選手権大会」が始まった。「都市対抗」と同様、毎日新聞が主催している。

2016年の社会人野球選手権大会=京セラドーム(筆者撮影)

 バブル期まで社会人野球は発展し続けた。都市対抗の決勝戦では東京ドームが満員札止めになるなど人気もあった。

 しかしバブル期以降、チーム数が減った。社会人野球には、選手を社員として雇用し、企業が活動資金を負担する「会社登録チーム」と、個別に仕事を持つ選手が野球をするときだけ集まる「クラブチーム」がある。従来、社会人野球と言えば「会社登録チーム」のことを差したが、21世紀以降は「会社登録チーム」が減少し「クラブチーム」が増加していくようになった。

 バブル以降、終身雇用制度が次第に崩壊し、業績不振に苦しむ企業が「リストラ」を始める。「野球部の休部・廃部」は経費節減に加えて、こうした会社の状況を社員、株主に納得させる意味合いもあった。

 また日本企業の経営に外国資本が参入するケースが増えたが、海外の投資家にとっては給料を支払って野球選手を雇用するのは、理解しがたいことだった。