「外国人が入っても日本人の給料は下がらない」
海老原:前述の通り、技人国ビザにはさまざまな問題があるので、この部分についてはよりきめ細かな対策が必要です。ただ、それ以外になると、特定技能か技能実習のビザを持つ人たちです。このビザで入ってくる人たちは有効求人倍率が3倍を超える職種に就いています。有効求人倍率が3倍というのは深刻な人手不足にあるということです。
その分野の有効求人倍率が2倍以下に下がれば、特定技能や技能実習の対象から外れます。こうした超人手不足の分野はとにかく人材を求めていますから、外国人が入ってきたからといって日本人の給料は下がりません。
他にも、クルド人が解体業に入ってきて解体業の単価が下がるという意見が時々見られますが、この主張も現実からかけ離れています。不法入国も合わせると、クルド人は日本全国で2000〜3000人しかいません。解体業についているのはさらにその一部です。
加えて、解体業は有効求人倍率が9倍という状況ですから、数百人が入ったところで焼け石に水で、大した影響はありません。一般家庭の家屋の解体費用は2020年から2025年で約1.6倍に上がっています。かつて100万円台で壊せた家が300万円ほどかかるという話もあります。クルド人が人件費を下げるならこんな値上げは起きていないはずです。
──日本に入国する外国人の3分の2には期限が来たら帰国してもらい、3分の1には残って定着してもらうという提案をされています。
海老原:日本の移民政策の最大のメリットは、島国だから入国者をきちんと管理しやすいということです。前の人が出ていった分だけ、新しい人が入ってくるので、帰る約束になっている人が期限通りに帰国すれば、外国人の労働力は想定外に増えません。期限がきた人にはきちんとそれぞれの国に帰っていただけばいい。
──きちんと帰ってもらうために何か新しい施策は必要ですか?
海老原:前述の技人国ビザの見直しと引き締め、ここを迅速に日本政府には対応してもらいたい。その他になると、現在ならば技能実習と特定技能のビザになります。留学ビザ、技能実習、特定技能、ここに該当する方々はもともと期限が来たら帰ることになっているので、ここをちゃんとコントロールしておけば外国人はそんなに増えないということです。
──日本が懐を痛めない外国人支援として、外国人労働者が日本で月々払う年金を財源にすることを提案されています。