その場が笑いに包まれた「愛子さまの一言」

 久野さんが、あえて自分から愛子さまに質問したこともある。事前に宮内庁の担当者に確認をとったうえで、ルアンパバーンの印象を尋ねたのだ。

「昨日1日かけてルアンパバーンにいらっしゃったと伺いましたが、印象はいかがでしたか、と私から質問しました」(久野さん)

 これに対して愛子さまは、「ラオスの伝統と歴史が凝縮された美しい街並みで、クワンシーの滝にも行ってまいりました」と丁寧に答えられたという。

 その後に続いた愛子さまの一言で、場がふっと和んだ。

「愛子さまが一言、『昨日1日だけの弾丸スケジュールだったんですけれども』とおっしゃったんです。『弾丸』という言葉に、周りの皆さんも一気にその場が和み、笑いに包まれました。私たちルアンパバーン在住者から見ても、あの行程はかなりのハードスケジュールだったので、みんなで『1日だけであれだけ回るのはハードだね』と話していたところでした」(久野さん)

 実際、クワンシーの滝に向かうには、ルアンパバーンの市街地から整備が行き届かない山道を、車で1時間は走らなければならない。さらに、直前に訪問された、ラオ・フレンズ小児病院からも、車で40分以上かかるという。土地勘のある久野さんから見ても、「相当な強行軍」だった。

 クワンシーの滝では、愛子さまは「想像の何倍も素晴らしく、美しく、迫力ある滝で感激しました」と語り、滝つぼを眺めながら「泳いでみたい」と話されたという。

 愛子さまは、小中学生の頃に両陛下と須崎御用邸で静養された折、水泳の練習に熱心に取り組まれたことが知られている。水に親しみ、その魅力をご存じの愛子さまだけに、目の前に広がる滝の迫力に、思わず胸が高鳴られたのかもしれない。

クワンシーの滝で記念撮影される愛子さま(2025年11月20日、ラオス・ルアンプラバン)/写真:代表撮影・共同通信社

 久野さんと話された時、愛子さまは最後に、『弾丸スケジュールだったんですけれども、本当に充実した1日でした』ときちんと言葉を結ばれた。ユーモアを交えつつ、公的な場にふさわしい表現でまとめられる姿に、「さすがだなと思いました」と久野さんは振り返る。