パワースポットや見どころがたくさん

秩父神社 本殿 写真/Gengorou/イメージマート

 朱塗りの神門をくぐり、まっすぐ行くと御本殿がある。天正20年(1592年)9月に徳川家康が社領57石を寄進し、代官である成瀬吉右衛門に建造させたものと伝わる。ご神体を祀る本殿とお参りをする拝殿を一つにつなげた権現造りという形式で、目もくらまんばかりの極彩色の彫刻が四面に施されている。

 さまざまな動物が彫られている中でも、以下の4つは必ず確認したい。まずは拝殿正面左側の「子宝・子育ての虎」。戯れる母子の虎は、名工左甚五郎が徳川家康の威厳と祭神を守護するために彫ったと伝わる。右側の側面にある「つなぎの龍」も左甚五郎が彫ったとされる。近くの池に住みついた龍があばれると必ずこの彫刻の下に水溜りができたが、この彫り物の龍を鎖で繋ぎ止めたところ、龍は現れなくなったという伝説がある。

「つなぎの龍」 写真/GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

 背後に回ると「北辰の梟」。体は正面のご本殿に向き、頭は正反対の真北を向いて昼夜を問わず祭神を守っているという。左側の側面には「お元気三猿」。有名な日光東照宮の三猿は「見ざる・言わざる・聞かざる」だが、こちらの三猿は「よく見て・よく聞いて・よく話す」という姿だ。わたしはこちらの元気でポジティブな三猿の方が好きかも知れない。

 それ以外にも、この神社にはパワースポットや見どころが多い。まずは御本殿の後方左右にある皇大神宮と豊受大神宮。これはつまり、お伊勢さんの内宮と外宮である。こんなところでお伊勢参りまでできるとはなんとありがたいことか。

 御本殿の背後には天神地祇社。全国の一之宮を中心とした75座の神々を祀る社がずらりと並び、これもありがたさのあまり涙がこぼれそうになるほどだ。このように多くの神々が祀られているのは、主祭神の八意思兼命が岩戸隠れの際に神々の意見をまとめたという逸話に基づくためだという。

 日御碕社は須佐之男命を祀る社で、特殊神事の「天王柱立て」が行われる。そのお隣には諏訪神社。ここにはなんと、本宮に当たる諏訪大社と同じように御柱が立っている。

 柞稲荷神社の前には「神降石」と呼ばれる巨岩もある。これはその名の通り、神様が降り立つ石ということだ。「柞の禊川」と呼ばれる小さな川では珍しい水みくじもできる。何も書かれていないおみくじを水につけると言葉が浮かび上がってくるもので、一般的な占いバージョンと恋占いバージョンがある。ちなみにこの川に流れている水も神奈備である武甲山の伏流水だ。