日中政府間で、水面下で解決の糸口を見つける努力が続けられていると思うが、高市の高支持率、習近平の国内締め付け路線を考えると、合意に至る道は険しい。
米中は「G2」体制を志向、中国から見れば日本はアメリカの「従属国」
11月24日、トランプと習近平主席が電話で会談した。習近平は、台湾問題に言及して、台湾が中国の一部であることを強調し、それが「第二次世界大戦後の国際秩序で欠くことのできない一部」とした。そして、米中が共に、ファシズムや軍国主義と戦ったことを強調した。トランプは、会談後に、台湾や日本には言及せず、米中関係が良好であり、「東アジアは上手くいっている」と述べるにとどまった。
習近平は、台湾問題に関して、トランプの理解を得るように説明した模様である。中国からみれば、日本はアメリカに安全保障を依存している「格下の国」、「従属国」であり、アメリカの意向に左右されると見下している。
トランプは、来年4月に訪中するという。
米中首脳会談後に話すトランプ大統領(左)と習近平国家主席=10月30日、韓国・釜山(写真:ロイター=共同)
韓国・慶州で行われたAPEC首脳会議にあわせて、10月30日に習近平・トランプの会談が釜山で行われたが、トランプは、これをG2と表現した。まさに、世界の覇権は、アメリカと中国との熾烈な競争下にあるということである。
その後、25日には、高市がトランプと電話会談した。トランプからの要請だという。トランプからは、習近平との電話会談の内容が伝えられたというが、会談内容の詳細は明らかにされなかった。
ウォールストリート・ジャーナルは、トランプは高市に「台湾問題に関して中国を刺激しないように」と話したと、26日に報じた(木原稔官房長官は27日の記者会見で「そのような事実はない」と否定)。
また、27日の『人民日報』は、アメリカに対して、日本の「軍国主義を復活させる行動」を阻止するように求めた。
米中、日米の電話首脳会談の詳細な内容については不明であるが、高市の頭越しに二大強国が了解し合っているような感じである。