韓国政府は「静観」の一手
韓国メディアによると、韓国の外交専門家らは日中対立の長期化に対する備えが必要だという指摘とともに、両国問題に対する仲裁の役割を果たすよりは「観望」あるいは「中立」を守らなければならないと助言している。
「中国は台湾に対してはあまりにも明らかだ。韓国が仲裁できる役割は容易ではない。短期的に中立的な立場を固守し、落ち着くことを期待しなければならない」(イ・ムンギ世宗大学教授)
「韓中日の3国が同時に関係が良かったためしがなかった。韓日または韓中、日中の一つは必ずギクシャクしてきた。日中間の対立局面がいつ終わるか分からない状況では見守るのが正しい」(ファン・ジェホ韓国外大教授)
「中国の逆鱗と見られる台湾問題を韓国が仲裁する必要はない。韓国は台湾問題とは別に“一つの中国原則”を堅持すると同時に、東シナ海、南シナ海などで航行の自由を強調することが重要だ」(イム・ウンジョン公州大学教授)
韓国政府も徹底した「静観」を選択した。南アフリカ主要20カ国(G20)首脳会議への出席を機に歴訪中の李在明(イ・ジェミョン)大統領は11月23日、テュルキに向かう専用機の中で開かれた記者会見で、日中対立に対する立場を問う記者の質問に対し、「大韓民国の立場からは、現在の状況を冷徹に見守り、国益が損なわれることがないように、また国益が極大化されるように最善を尽くすべきではないか」という“曖昧”な答えで応じた。
ただ、米国の同盟国である韓国は、現在の状況をいつまでも見守る立場にいるとはできそうもない。14日に発表された米韓間の通商・安保に関するジョイントファクトシート(共同説明文)には、米韓安保同盟が「北朝鮮の脅威だけでなく同盟に対するすべての域内脅威に対処しなければならない」と明示された。
また、「日本との3者同盟を強化していく」ことや、「朝鮮半島とインド太平洋地域における平和と安全、繁栄に寄与する」ことを公約した。つまり、「台湾の有事」は日本と同様、韓国にとっても有事である。
米国がどれほど積極的に日中対立に関与するかによって、韓国もいつまでも高みの見物というわけにはいかないだろう。
