米韓首脳会談の会場となる国立慶州博物館で儀仗隊による栄誉礼に臨むトランプ大統領とホストの李在明大統領(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
10月31日から韓国・慶州で開催されたAPEC首脳会議にあわせて、米国や日本、中国などと相次いで首脳会談を行った李在明(イ・ジェミョン)大統領の支持率が60%台に急上昇し、韓国メディアも李大統領の「外交力」を高く評価しだしている。特にトランプ米大統領との首脳会談を通じて電撃合意された米韓関税交渉では「日本より有利な条件を引き出した」との分析がなされ、その手腕を評価する声が高まっている。
ただ、当初は数日以内に発表されると予想されていた「ジョイント・ファクトシート(共同説明資料)」が、2週間が過ぎた現在まで公開されていない点に、少なからず憂慮の声も出始めた。
国民が固唾をのんで見守った首脳会談
世界の首脳が集まる国際外交舞台だった「慶州APEC首脳会議」で韓国人が最も注目していたイベントは、李在明韓国大統領とトランプ大統領との米韓首脳会談だった。
トランプ大統領はAPEC首脳会議には出席しなかったが、習近平中国主席との会談のためにAPEC直前の29日、韓国を1泊2日の日程で訪問した。到着日にはホスト国である韓国の李在明大統領とも首脳会談を行った。
トランプ大統領との首脳会談での韓国側の最優先課題は「関税交渉の妥結」であった。今年7月の韓米政府間交渉で3500億ドルの対米投資ファンドを約束させられた李在明政権だったが、その規模と内容は韓国経済にとってあまりにも負担が大きく、国内では反米感情が高まっていた。
それだけにAPEC開催にあわせて韓国にやってくるトランプ大統領との会談で、関税交渉の詰めの交渉において韓国にとって有利な内容を引き出せるか否かを、韓国全体が固唾をのんで見守っていた。
李在明大統領も、トランプ氏のご機嫌を取るため誠意を尽くした待遇を準備した。