APEC首脳会議の晩餐会で談笑する李在明大統領と習近平主席(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
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「中国人お断り」を大々的に打ち出したソウル市聖水洞の某カフェの行動が韓国社会で大きな議論を呼ぶ中、大邱市にも中国人出入り禁止を掲げた食堂が出現した。こうした動きに対し、与党「共に民主党」は、「集会デモに関する法律改正案」に続き、外国人に対する名誉毀損を懲役刑に処する「刑法改正案」を発議した。韓国社会に噴出する「嫌中」を法律で抑え込もうとしているのだ。

韓国中に広がる「嫌中」感情

 10月22日、ソウル市聖水洞のあるカフェが「中国人、入店お断り」のお知らせをSNSに掲載したというニュースが伝えられた。これに対し、所在地である城東区の区庁長がSNSの告知投稿を削除するよう説得したが、カフェのオーナーは頑として受け付けなかった。

 すると、今度は「国家人権委員会」(以下人権委)が乗り出した。韓国メディア『連合ニュース』などによると、「人権委」はこの事案が差別に当たるという陳情を受け、調査に乗り出したという。

 11月2日、人権委の職員はカフェ店主と面談し、店主から告知を削除するという署名を取り付けたという。人権委は連合ニュースに、「被陳情人が差別を原状回復し再発しないと確約すれば、別途の審議なしに調査終結処分ができる」と説明した。韓国の人権委法には「法人、団体、個人の差別行為も人権委の調査対象に含まれている」という。

 ところが、今回は大邱市のある食堂が「ノーチャイナ・ゾーン」を宣言したというニュースが伝えられた。食堂の店主は店先に大型の太極旗をかけ、「太極旗を見て中国人が来ないことを願う」という文をSNSに載せたという。