もう一つの半導体関税の場合、7月の1次合意の時は、「半導体関税は最恵国待遇を保障された」という内容が今回は「台湾に比べて不利でない条件」へと一歩退いた。一方、日本は最恵国待遇を保障された。韓国大統領府は「どうせ半導体の競争相手は台湾だ」とあえて状況を無視しようとしているように見えるが、日本も潜在的な競争相手であることは間違いない。
触れ込みはすごいが「いざ蓋を開けてみたら…」は過去にも
韓国側が用意したという4つの「安全装置」の現実的な効果もかなり疑問だ。韓国の外為市場に問題が生じたからといって、トランプ大統領が200億ドルより低い金額でOKするかどうかは、その時になってみないと分からないだろう。むしろトランプ大統領のスタイルを見ると、「年間200億ドルを払えないなら関税を元通りの25%に引き上げる」と言うような気がするのだ。
韓国政府は「年間200億ドルの投資資金は外貨保有高(4220億ドル)を使って投資したところから出る利子や配当金で十分に賄える」と豪語しているが、もともとこれは為替レートを防衛したり管理したりするために使わなければならない金だ。現在のウォン・ドル為替レートの“殺人的上昇”の背景には、外為市場に対する警戒感が影響している。準基軸通貨国である日本と違い、韓国の外為市場はこの条件でも動揺するしかないのだ。
韓国の産業長官が委員長として明示された投資協議会の実効性も疑問だ。韓国の投資金も日本と同様、米国人だけで構成された投資委員会が使途を決める。投資協議会に投資委員会の決定に反対できる権限が与えられるかについては、誰から見てもかなり懐疑的だ。協議自体が形式的行為に終わる可能性が高い。
結局、「朝鮮日報」の記事タイトルのように、最終的な評価は合意文が出た後に下さなければなるまい。今年7月の第1次合意の際、韓国政府は「米国と合意した総投資額3500億ドルのうち、最大5%の175億ドルだけが現金投資で、残りは貸し出しや保証」と主張していた。ところが、いざ蓋を開けてみると、話は全く違っていた。
今回も米国側と韓国側とが少しずつ違う話をしている。平気で約束を覆すトランプ、李在明両氏の会談だけに、その評価は最終合意文が出てから下すべきだろう。



