ゴールド尽くしの接遇

 まずはゴールド好きのトランプ大統領の心をくすぐろうと、2つのとっておきの“プレゼント”を用意した。717グラムの金が使われた勲章と、1キログラムの金を使用した黄金王冠だ。合わせると3億ウォン(約3200万円)にもなる高価なプレゼントだ。

李在明大統領からトランプ大統領に贈られた最高位の勲章「無窮花大勲章」(写真:AP/アフロ)

 特に黄金王冠は朝鮮半島で千年王国を建設した新羅時代の遺物である「天馬塚金冠」のレプリカで、「王になりたがっている」トランプ大統領を殊の外、満足させたようだ。英紙「ザ・ミラー」によると、ボディーランゲージ専門家のジュディ・ジェームズは「トランプは金冠から目を離すことができず、それをかぶる場面を想像しているようだった」と分析したという。

国宝「天馬塚金冠」のレプリカを贈られ、李在明大統領と固い握手を交わすトランプ大統領。李大統領も「してやったり」と言わんばかりの表情を見せた(写真:AP/アフロ)

 韓国の大統領府の関係者も、「トランプ大統領が直接持っていくとしてエアフォースワンに載せるよう命令した」「大統領執務室のどこに配置するかをすでに決めているようだ」と興奮を隠せないトランプ大統領の姿を伝えた。

 プレゼントのお陰か、トランプ大統領は米韓首脳会談後に開かれた晩餐会で、「韓国と関税交渉に合意した」と電撃公表した。「まだ異見が残っているため、最終合意までは時間がかかる」といった交渉チームの展望を完全に覆す発表だった。その後、韓国大統領府が関連ブリーフィングを行い、両国間で合意された具体的な内容を発表した。