地位と名誉失った元財務長官
サマーズ氏と言えば、現代マクロ経済の中心的存在であり、ニューケインジアン(New Keynesian)の代表格である。
1993年から財務次官補、95年から財務副長官を務め、1999〜2001年に財務長官を務めた。
その後ハーバード大学学長を5年間務め、2009年にはオバマ政権で国家経済会議(NEC)委員長として民主党政権下で経済政策を立案・実施してきた。民主党政権の重要な政策ブレーンだった。
米学界の頂点を極めた現代米国を代表する政策エコノミストの一人だ。
今回の醜聞露呈を受け、サマーズ氏は「公的なコミットメント(public commitments)から身を引く」と表明し、シンクタンクやメディア、企業などでの外部ポストを相次いで辞任した。
また、ハーバード大学での講義は休講が続いており、今後も休講や代講になる予定を複数のメディアが報じており、教職やセンター所長職も退任する可能性が指摘されている。
サマーズ氏はハーバード大学で最高位の教授職を与えられており、もし辞任するとなれば、それだけで少なくとも60万ドル弱の報酬を失うと、ハーバード・クリムゾンは過去の教授給与調査を基に試算している。
(Ex-Harvard president Larry Summers stops teaching as university investigates Epstein emails)
サマーズ氏は、自分の行動について「重大な判断ミス(major error of judgement)」だったと認め、「深く恥じている(I am deeply ashamed)」という声明を出している。
いずれにせよ、サマーズ氏の7年前の片思いの恋は、地位や名誉、複数の収入源の一部を失う結果となりつつある。
公表されている記録によると、サマーズ氏は1984年、ビクトリア・ペリーさんと結婚している。2003年に離婚したが2人の間には2女1男がいる。
離婚から2年後の2005年、サマーズ氏はハーバード大学英語学部教授だったエリサ・ニューさん(67歳、現在は名誉教授)と結婚している。同氏は米文学、詩の著名な学者だ。
相手に拒絶されたのだから、2018年から2019年の金刻羽氏との関係は「不倫」と呼べるかどうか。だが、当時サマーズ氏とニューさんは法的に夫婦だったことは間違いない。
(Lawrence Summers - Wikipedia)
なお、金刻羽氏は11月21日時点で、サマーズ氏とエプスタイン元被告とのメールについて米メディアなどの取材に回答していない。