2025年11月9日、GPシリーズ、NHK杯、エキシビジョンに出演した坂本花織(右)と青木祐奈 写真/アフロスポーツ
(松原孝臣:ライター)
「目の前にある試合を全力でやるのが最優先事項」
11月8・9日、フィギュアスケートのNHK杯が行われた。グランプリシリーズ全6戦の中で第4戦にあたる。
女子は坂本花織、樋口新葉、青木祐奈が出場。それぞれに収穫のある試合となった。
坂本花織は グランプリシリーズ初戦となったフランス大会は220点を超える得点をあげながら2位。上々の出来ではあったが、取りこぼしがあったことを課題としてNHK杯に臨んだ。
その演技は有言実行そのものだった。ショートプログラム、フリーともに圧倒的な滑りを披露、2位に27点以上の大差をつけて優勝したのだ。
「すごくほっとしています」
優勝を逃して迎えた大会、「絶対にミスは許されない」と誓う中、ここいちばんでの強さをみせつけた。
2025年11月8日、NHK杯、女子シングル表彰式、プレゼンターの伊藤みどり(右)からメダルを贈られる坂本花織 写真/アフロスポーツ
坂本にとって、今シーズンは特別なシーズンでもある。今シーズンをもって引退を表明している、つまり最後のシーズンであるからだ。
「(指導を受ける中野園子)先生からも『こういうのも来年から経験できなくなるんだから今、楽しんどかないと。今、このプレッシャーも味わっとかないと』みたいに言われていて」
と笑うと続けた。
「今年で最後って決めてからは、練習がめちゃくちゃ楽しくて、もちろん常にきついんですけど、でもやりがいのある練習が毎日できています」
一方で、「最後だなとか、ふだんからは滅多に思わない」と言う。
「もちろんどの試合も『最後』というのは絶対つくと思うんですけど、自分の中では大事なオリンピックシーズンのうちの1つの大会であって。もちろんこのNHK杯もグランプリファイナルに進むために大事な試合でもあってというのを考えると最後だなって考えている暇がなくて、ほんとうに目の前にある試合を全力でやるのが最優先事項で、最後だな、感慨深いな、しみじみ、みたいなのは全然ないです」
やることはいつもと変わらない。
「まだまだ伸びしろもあるので、これでマックスとは言わず、しっかり、もうちょっと上を目指して頑張れたらと思っています」
次戦はグランプリファイナル。そして全日本選手権を見据える。
