文=松原孝臣 撮影=積紫乃
グランプリシリーズ10戦目でつかんだ初優勝
「ここまであっという間の1年でした」
三原舞依は笑顔を見せる。
「(8月の)げんさん(サマーカップ)があって、グランプリシリーズで2戦もらえるのが決まっていて。いただけたのが後半の2試合だったので、その前に近畿選手権や西日本選手権も出て、とスケジュールを自分で組み立てて。あっという間に試合が進んでいく感じでした」
年が明けてからも、ワールドユニバーシティゲームズで連覇を果たし、その後も国体、2月末にはオランダでのチャレンジ・カップに出場するなどいくつもの大会を過ごしてきた。
「たぶん試合数は、今まででいちばん多い方なんじゃないかなと思います」
再び、笑顔を見せる。
その笑顔が今シーズンの充実を思わせた。
成績をとってみても、キャリアの中で最高と言える結果を残してきた。
三原にとって今シーズンのグランプリシリーズ最初の試合となったのは第4戦のイギリス大会。ショートプログラムで1位になると、フリーでも1位となって優勝を遂げる。これまでに9回(コロナ禍のもと変則方式で行われたNHK杯を含む)、同シリーズの大会に出場し表彰台には登っていたが、1位になったことはなかった。10戦目でつかんだ初優勝だった。
三原の2戦目は最終戦のフィンランド大会。ここでも優勝し、女子シングルでただ一人2勝をあげて、トップでグランプリファイナル進出を決める。それも初めてのことだった。
迎えたイタリア・トリノでのグランプリファイナル。ここでも観客を魅了する演技を披露し、初出場初優勝を果たしたのである。