島田高志郎 撮影/衣笠名津美
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(松原孝臣:ライター)

フィギュアスケート・男子シングルの島田高志郎選手が、今年の5月にアイスダンスへの挑戦を発表。男女1組で行うアイスダンスは、ジャンプはないものの、複雑なステップワークやリフト、調和が求められ、靴やエッジを含め、同じ競技といえどシングルとは多くの違いがあります。

後編ではパートナー櫛田育良選手と最初に組んだ時の感覚と目標、さらに島田選手自身について、自分の思う個性を伺いました。

●フィギュアスケーター・島田高志郎インタビュー(前編)はこちら

アイスダンスへの興味は幼少期から

「今シーズンから櫛田育良さんとアイスダンスカップルを結成することになりました。世界で戦えるカップルを目指し、私達にしか出来ない表現、世界観を求めて頑張ります」

 5月9日、シングルで活躍を続けてきた島田高志郎はアイスダンスへの挑戦を表明、大きな反響を呼んだ。

 アイスダンスへの誘いは以前からあったと言う。

「シニアに上がる頃には『やってみたらいいと思う』『興味ない? どう?』みたいにおすすめされることはありました」

 シニアに上がったのは2019-2020シーズンだから、かなり前からのことになる。

 島田自身、幼少期の頃からアイスダンスには関心があったと振り返る。

「でもシングルもずっと続けてきた大好きな競技ですし、スケーティングが上手かと言われたら自分ではそんなこともないという思いがありました。よりターンをクリアにしないといけないですし、フリーレッグも伸ばさないといけないし、自分の中ではむしろ苦手とする分野だな、と思っていました」

 誘いを受け入れることはなかった。ただ、いつしか、かすかな変化も生じていた。

「やってみないと始まらないというのもたしかなので、ちょっとずつ意識するようにはなってきました」

 転機を迎えるきっかけとなったのは、昨年4月に行われたアイスショー「Bloom On Ice」だった。濱田美栄氏をゼネラルマネージャーに迎え、フィギュアスケーター育成を目的としてスタートした木下アカデミーの創設を記念し、2021年から毎年開催されていたショーだ。2024年、島田と櫛田も出演していた。

「育良ちゃんと同じ練習枠になったとき『ちょっと組んで滑ってみなよ』と濱田先生から言っていただいて、滑ってみました。それこそ濱田先生に『アイスダンス、絶対やってみたらいいと思う』と以前からすすめられていました」

 櫛田については、もともと強い印象があったと言う。

「育良ちゃんは、ほんとうに自分の好きなスケートをする選手の一人で憧れのスケーターです。例えば全日本ジュニア選手権とかの演技でも素晴らしいものがあって、その演技を何回も見返しましたが、やっぱり他の人と違う特別な世界観というか、彼女にしかできないスケートというものがすでにこの若さにしてあるのか、と、衝撃を受けた記憶があります」

 その櫛田と最初に組んだときの感覚は——。

「アイスダンスの経験がなくて、いい悪いも分からない中、『いいんじゃないか』という手ごたえは最初からちょっとありました」

 再び組んで滑ってみたのは昨夏のこと。

「一緒に滑らせていただく機会をたくさんいただきました」

 それ以降、島田と櫛田はシングルで大会に出場、それぞれにシーズンの活動を続けた。

 その中で島田は考えていた。