マムダニの公約は実現するにはハードルが高い。ニューヨークの市議会選挙も同時に行われたが、民主党は過半数を握り続けている。しかし、議会が急進的な予算案を認めるのかどうかは不明である。ニューヨークの富裕層や保守層は、当然反発を強めている。

 政策は対極的であるが、政治手法は、マムダニとトランプに共通するものがある。それはポピュリズムである。左と右の違いはあるが、現状に不満を持つ人々の感情に訴えて支持を拡大する方法は同じである。「MAGA(アメリカを再び偉大に)」と繰り返すトランプ、「格差社会に終止符を打つ」と絶叫するマムダニ、政策実現の前に立ちはだかる障害などを考える余裕などなく、単純な訴えを飲み込んでしまう。

2つの州知事選挙

 来年の中間選挙の前哨戦となる二つの州知事選も行われた。

 東部のニュージャージー州では、民主党のマイキー・シェリル下院議員が、共和党候補で元州議員のジャック・チャタレリを破って当選した。彼女は、元海軍のヘリコプター・パイロット、連邦検事などを歴任し、住宅費や医療費の削減を訴えた。チャタレリがトランプと近いことを痛烈に批判した。

ニュージャージー州知事選挙で勝利したマイキー・シェリル氏(U.S. House Office of Photography/House Creative Services, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)

 ニュージャージー州は民主党の牙城である。ヒスパニック系、黒人は通常以上に民主党候補に投票している。物価高などが、シェリルを後押ししたようである。

 南部のバージニア州では、民主党のアビゲイル・スパンバーガー前下院議員が、共和党候補のウィンサム・アールシアーズに勝利した。彼女はCIA職員などを経験し、トランプ政権の貿易政策を批判した。バージニア州知事に女性が就任するのは初めてである。

バージニア州知事選挙に勝利したアビゲイル・スパンバーガー氏(写真:UPI/アフロ)

 トランプ政権は、連邦職員の削減を進めているが、それに反感を持つ連邦職員の票がスパンバーガーに流れた。バージニア州には、国防総省の本庁舎やCIAの本部があり、連邦職員が多く住んでいる。

 CNNの出口調査によると、トランプへの反対が投票理由の一つと答えた投票者は、バージニア州で37%、ニュージャージー州で39%にのぼった。経済問題を最重要課題とする有権者の6割が民主党候補に投票し、スパンバーガーもシェリルも無党派層の過半数を獲得している。