スケートと向き合う心境の変化

2025年11月1日、西日本選手権、女子シングル、ショートプログラムを演じる三原舞依 写真/森田直樹/アフロスポーツ

 復帰戦は今年8月の国内大会。その後、近畿選手権を経て迎えたのが西日本選手権だった。これまでの過程を知るからこそ、あたたかな視線に包まれていた。

 現在の足の状態は「コンディションは万全に近くなっている」と言う。痛みは「基本的にはなくて、ちょっと練習を積みすぎてしまった後とかはちょっと響いたりもします」。

 それでもこう続ける。

「リハビリ方法や足の整え方はけっこう学んできたので、その状況に合わせて対応できるように、もっともっと極めていけたらなって思っています」

 再起して進んできた今、スケートと向き合う心境にも変化があると言う。

「今まで試合でミスがあったり悔しい部分があると、そこばかり考えてしまったり、気持ちが落ちちゃったりすることもよくありました。今もその気持ちはしっかりあるのはあるんですけど、それ以上にこうして進めることができて、応援してくださる方の前でできて、そういう幸せな気持ちをよりたくさん感じることができているのが、今までと違うところかなって思っています。ほんとうにかみしめるように日々を過ごせているんじゃないかなって思っています」

 常に足と向き合いながら少しでも成長を、と志し、西日本選手権3位で全日本選手権の出場権を得た。

「全日本に出られることがなによりうれしくて、オリンピックがかかる全日本というのはすごくいろんな思いがあるというのも今まで感じてきたので、その試合にこうしてまた出れることはすごくうれしいです。もしかしたら最後になるかもしれないし、また進むことができるかもしれないし。

 今シーズンも終わってみないと分からないと思うので、ショート、フリー、両方とも滑り終えたときに、こんなに大好きな観客の皆様の前で滑れてすごく幸せだというのを全身で、ガッツポーズができるぐらいの演技をしてちょっとでも感動してもらえたり、笑顔になっていただけるようなスケートがしたいなって思っています」

 観客席入り口付近で行われた表彰式では、観客の人々も周囲でその模様を見守った。さまざまな人から声をかけられ、笑顔で応える三原の姿があった。

 好きなスケートへの思い、スケートともに生きてきた競技人生の思いをこめて、不屈のスケーターは、11度目の全日本選手権の舞台に立つ。