2025年11月2日、西日本選手権、女子シングル、フリースケーティングの演技を終えた三原舞依 写真/スポーツ報知/アフロ
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(松原孝臣:ライター)

西日本選手権では3位

 万雷の拍手。あちこちから聞こえる声援。色さまざまなバナータオル。

 11月1日から3日にかけて行われたフィギュアスケートの西日本選手権、その1・2日に行われた女子で、三原舞依はいつもあたたかな視線の中にいた。

 1日のショートプログラムは『戦場のメリークリスマス』。着氷で乱れるジャンプはあったが流れのあるスケーティングでひきつける。3位につけて迎えた2日のフリー『ジュピター』でもジャンプにミスが出た。それでも最後の要素であるステップまで、気持ちのこもった演技を披露し、3位で大会を終えた。

「悔しいです。ジャンプもそうなんですけど、6分間(練習)からふわふわした感じがあって、『足をしっかり氷につけて』って思いながら、その中でも集中して最後までできたのはよかったんですけど、ちょっと構成変えた部分だったり、練習でできていたものを本番で出そうと思ったらもうちょっと練習の回数が必要なのかなって思って、そこが反省点です」

 試合での演技を「悔しい」と三原は言う。でもそれすら言えない状況が長くあった。

 2017、2023年の世界選手権に出場し、ともに5位入賞。2021-2022シーズンの四大陸選手権で優勝、2022-2023シーズンのグランプリファイナルでも優勝……。三原は長きにわたり、第一線に立ち続けてきた。中途で体調の問題から長期間休まなければいけないときもあったが、そのたびに再起した。短い言葉ではまとめることはできない時間を過ごしながら、リンクで華麗な滑りをみせてきた。

 何度も立ち上がってきた三原が、再びアクシデントに襲われたのは2023-2024シーズンのこと。右足首の疲労骨折だ。

 昨シーズン、復活を期して臨んだが、グランプリシリーズは7位と8位。本来の滑りでも成績でもなかった。12月の全日本選手権は右足首などの状態が思わしくなく、ショートプログラムは出場したものの、フリーは棄権をよぎなくされた。

 その後、2カ月にわたり氷の上から離れた。

「大変だったと言えば、大変だったんですけど」

 好きなスケートができないもどかしさ。長期間、苦しめられ続ける怪我。心は揺れた。

 それでも今までのように、いつしか前を向いた。スケートを始めたときのように片足で滑るところからスタートした。トレーナーなどのサポートを受けつつケアとトレーニングを欠かさず、「0.5歩でも毎日成長できたら」と練習に励んだ。

 支えとなったのはたくさんの人たち。だからこんな思いとともに、再起を期した。

「先生や家族、友だちもサポートしてくださいましたし、応援してくださるファンの皆様からのあたたかいお手紙や素敵な言葉が支えてくれています。その恩返しができるようなスケートをお見せできたらと思います」