公明党への高市総裁のリベンジが始まった
急浮上した自維連携は、公明離脱発表の翌11日、高市総裁が旧知の維新・遠藤国対委員長にかけた電話から始まった。国民民主と維新を二股にかける自民の工作は生存本能のなせるワザである。
一方、維新は、自民とともに「負け組」として利害関係を共有していた。維新の全国展開は暗雲が垂れ込め、大阪では万博終了後の経済落ち込みに何らかの対策が必要だった。維新にとっても前のめりになれる局面だった。
連立入りの条件として、維新・吉村代表は突如、国会議員定数1割削減を持ち出した。衆議院の比例代表を念頭に置いているとみられている。「年内に実現」と意気込むが、通常は次の臨時国会で実現できるようなシロモノではない。何せ衆議院の定数を50人削減するのに30年もかかっているのだ。吉村代表は大阪では圧倒的な人気者だが、政治のエンタメ化も心得ている。
維新の吉村代表(右、写真:アフロ)
そんな議員定数削減提案に対し、高市総裁は結構ウェルカムなのではないか。着地が難しいであろう「企業団体献金の禁止」が隠れるし、衆議院の比例削減だけで済めば、比例区に注力していく公明に壊滅的打撃を与えられる。高市氏のリベンジが始まったのだ。
また、少なくなる比例議席の奪い合いで各党とも選挙区で多くの候補者を擁立し、比例票確保に走る。野党が割れれば自民党候補の選挙区当選が増えるという算段だ。
野党が対抗するにはできるだけ早く政党ブロックを作り候補者調整をするしかない。しかし、臨時国会で驚天動地の定数削減法が揉めれば、高市総理は躊躇なく解散を断行できる。単独過半数の最短コースだ。
誰がシナリオライターなのか。反射神経のなせるワザか知らないが、良くできている。