自民党の高市総裁(写真:共同通信社)
昨年12月15日の昼、米フロリダ州にある豪勢な別荘「マー・ア・ラゴ」で、ドナルド・トランプ次期大統領当選者(当時)は、はるばる日本からやって来た珍しい賓客と、ランチに臨んでいた。2022年7月8日、奈良で参院選の遊説中に凶弾に斃(たお)れた安倍晋三元首相の昭恵夫人である。
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大統領1期目(2017年1月~2021年1月)の時、型破りな「アメリカ・ファースト」政策を押し通したトランプ大統領は、国際社会から四面楚歌に遭った。自分の部下たちとさえ次々に衝突し、離反していった。
そんな中で、「トランプの友人は世界にたった2人だけ」と言われた。ひとりは、この2年間のガザ地区攻撃で、6万7211人(10月10日現在、ガザ保健当局発表)も殺戮(さつりく)したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。
トランプ大統領は今週13日、中東和平のため、2回目のイスラエル訪問を行い、ネタニヤフ首相と会談した。ネタニヤフ首相は、先月29日に米ホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領と会談したばかり。両首脳は「以心伝心の仲」と言われる。
もうひとりが、日本の安倍元首相だった。「トランプ外交」は事実上、2016年11月17日に、安倍首相がニューヨークのトランプタワーを、電撃訪問したことから始まったのだ。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、中国の習近平主席、ドイツのアンゲラ・メルケル首相……トランプ次期大統領が知りたい「首脳情報」は、ほとんどすべて、「先輩格」の安倍首相が「伝授」した。以後、両首脳は計20回も首脳会談を重ね、ゴルフも5回共にした。両首脳は「相思相愛の仲」と言われた。
2019年5月、安倍首相(右)の出迎えを受け、千葉県茂原市のゴルフ場に到着したトランプ米大統領=代表撮影(写真:共同通信社)
その後、安倍氏は前述のように凶弾に斃れ、トランプ氏は昨年11月5日の大統領選挙で、再び勝利した。そこで「初心に帰ろう」と思ったのか、再選を決めた翌月に、昭恵夫人を「マー・ア・ラゴ」に招待したのだ。
