2025年3月7日、北京で開催された第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議において、人民解放軍と人民武装警察部隊の代表団による全体会議に出席した習近平主席(写真:新華社/アフロ)
日本は10月21日に、難産の末に高市早苗政権が誕生する運びとなったが、この一週間あまりは、政治が「大揺れ」だった。
だが、隣の中国も、人民解放軍が「大揺れ」である。17日午後、国防部の張暁剛報道官(大校)が、突然、ある処分を発表した。その要旨は以下の通りだ。
党籍除名、軍籍除名
「(中国共産)党の第18回大会(2012年11月に開催し、習近平総書記を選出)以来、全軍と武警部隊は党中央委員会、中央軍事委員会の政策指示を決然と貫徹してきた。また、禁止区域なし、全カバー、ゼロ容認を堅持し、腐敗は鉄拳で征伐し、軍隊の反腐敗闘争を不断に縦横に深く推進してきた。
党中央、中央軍事委の批准を経て、中央軍事委紀律委監察委は引き続き、9人の立件審査調査を進める。党中央政治局委員・中央軍事委副主席の何衛東、中央軍事委委員・軍委政治工作部元主任の苗華、軍委政治工作部元常務副主任の何宏軍、軍委連合合作戦指揮中心元常務副主任の王秀斌、東部戦区元司令員の林向陽、陸軍元政治委員の秦樹桐、海軍元政治委員の袁華智、ロケット軍元司令員の王厚斌、武警部隊元司令員の王春寧である。
審査調査を経て、この9人は党の紀律に著しく違反し、著しい職務犯罪の嫌疑がかかっている。金額は特別に莫大で、性質は極めて重く、影響は極めて悪烈である。関係する党内法規と法律法規によって、党中央は9人を党籍除名処分とする。また犯罪問題の嫌疑で、(身柄を)軍事検察機関に移送し、法によって審査起訴する。(中略)中央軍事委員会はすでに、9人を軍籍除名処分とすることを決定した。
何衛東、苗華、何宏軍らに対して厳粛な調査処分を行うことで、党中央、中央軍事委が反腐敗闘争を徹底的に決然と決心して行うことを表明した。軍の中に絶対に腐敗分子が隠れることを許さないという鮮明な態度を示した。これは党と軍隊の反腐敗闘争における重要な成果であり、人民軍隊はさらに純潔、強固なものとなり、さらに強大な団結力と戦闘力を有していく」
折りしも、20日から23日まで、中国共産党の中央会議「4中全会」(中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議)を北京で開催中である。その直前に発表し、4中全会でこの決定を追認するという形にしたのだ。
それにしても、人民解放軍の高官がこれほど一斉に「落馬」(ルオマー=失脚)とは驚きである。軍ナンバー2の中央軍事委副主席に、トップ7の同委員、部門トップの司令員(日本の幕僚長に相当)3人など、錚々(そうそう)たるメンバーたちが、獄中に入るのである。
