10月1日、国慶節の連休に観光客であふれかえる重慶市の歩行者天国(写真:VCG/アフロ)
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 このコラム「東アジア『深層取材ノート』」が、今回で丸6年、300回を迎えました。毎週ご愛読いただき、ありがとうございます。新著『ほんとうの中国』(発売1カ月で3万部のベストセラー)ともども、引き続きよろしくお願いいたします。

映画『731』が大ヒットの最中でも旅行先としての人気が衰えない日本

 中国は、10月1日が76回目の国慶節(建国記念日)で、6日に中秋節(旧暦の8月15日)が重なったこともあり、8日まで8連休が続いている。うまく土日を挟んで、12連休というウハウハの「上班族」(シャンバンズー=会社員)もいる。

 先月10日に中国の大手旅行代理店「Airbnb愛彼迎中国」が発表した『2025年国慶ゴールデンウィーク海外旅行趨勢報告』によれば、この時期に海外旅行に出かける中国人は、昨年同期の2倍近くに上るという。あの悪夢だった「コロナ禍」も、完全に払拭されたのだ。

 同報告によれば、今年も日本が、旅行先の人気でトップである。ちなみに人気ベストテンは、次の通りだ。

①日本、②イタリア、③フランス、④スペイン、⑤ニュージーランド、⑥韓国、⑦インドネシア、⑧オーストラリア、⑨アメリカ、⑩イギリス

 日本に関しては、1931年に満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起きた9月18日に合わせて、極めて反日的な国策映画『731』が、中国国内で公開されたばかりだ。10月4日には、興行収入が17億元(約350億円)を突破したということがニュースになった。日本で大ヒット中の映画『国宝』の興行収入が150億円だから、わずか20日足らずでその2倍を超えてしまった。

 このひどい映画については、先月20日に、このコラムで詳述した通りだ。

(参考)“大ヒット公開中”の中国映画『731』、反日感情高揚も心配だが、観た人からは「期待外れ」「観るに堪えない」の声

 このように、いわば「悪の日本」が全国津々浦々まで喧伝されているのに、なぜ中国で日本旅行が人気なのか? 河南省の「ヒマラヤ観天下」というペンネームの人のネット解説が興味深かったので、翻訳する。